株主価値向上に寄与しない新中期経営計画
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- 2021年5月12日、世紀東急は2022年3月期を初年度とする3か年の中期経営計画(以下「新中計」といいます。)を発表しました。弊社は、新中計が過度に保守的であり、株主価値向上に貢献しない計画だと評価しています。なお、前中期経営計画(以下「前中計」といいます。)に対する弊社の考えはこちらをご参照ください。
- まず、2022年3月期を初年度とする他の道路舗装会社2社(2社とも2021年3月期に過去最高の営業利益を更新しています)の中期経営計画と比較すると、世紀東急の見通しは1社だけ過度に保守的です。
- (出所:QUICK ASTRA MANAGER及び世紀東急は2021年5月12日、NIPPOは2021年5月11日、東亜道路工業は2021年5月14日のプレスリリースより弊社作成)
- つぎに、資本政策について、弊社は、自己資本を積み上げる資本政策を転換する、すなわち、配当性向100%を株主還元方針とすることで株主価値が向上することを説明して参りましたが、残念ながら配当性向30%程度・総還元性向50%以上という低い目標が掲げられました。なお、新中計発表と同時に自社株買いも発表されましたが、それを勘案しても新中計期間中に自己資本が積み上がる計画となっています。
- 自己資本が積み上がる資本政策を採用していると、ROEは低下していくこととなります。上記のように利益が目減りするという計画を策定し(ROE算定の分子が小さくなる)、さらに、自己資本を更に積み増す(ROE算定の分母が大きくなる)ことは、ROEを一段と低下させることに繋がり、その結果、株主価値は減少することになります。
- <新中計期間中の自己資本の変化>
- (出所:2021年5月12日のプレスリリース)
- このように、新中計で示された目標は、特段の努力をしないで達成できる低めの目標であることが疑われます。
- また、投資計画(設備の維持更新・取得)については、前中計における年度平均の実際の投資金額は30億円に過ぎないにもかかわらず、年度平均投資金額として50億円という多額の投資を行うという計画を明らかにしました。
- 弊社としては、当社の資本コスト以上のリターンのある投資を行い、株主価値を向上させることを強く要望します。
- <新中計の投資計画>
- (出所:2021年5月12日のプレスリリース)
- <前中計の投資計画及び実績>
- (出所:2021年5月12日のプレスリリース)